大学の選び方について、
前回までは基本的な考え方や方法論を説明しました。
目的を明確化し、
その目的を実現するための条件を定める。
では、どんな条件があるのか?
今回からは具体的な条件を見ていきます。
初回は「1クラス人数」です。
これ、スーパー大切です。
個人的には最優先条件だと思っています。
なぜ1クラス人数が大切なのか?
それを知るためには、もっと根本的な問題、
「留学とはなにか?」
を知る必要があります。
ちょっと長くなりますが、
まずこの問題について考えてみましょう。
「語学留学」
その目的は言うまでもなく
「語学習得」
です。
では、「語学習得」って、
具体的には何をすることですか?
多くの日本人にとって、
「語学習得」=「英語習得」です。
そして、中学、高校、大学の10年間、
多くの日本人にとって、
「英語習得」=「文法習得」でした。
でも、10年間も勉強したのに、
聞けない、話せない、使えない。
この現実を見て、
「文法習得だけじゃダメだ」
という議論も起こります。
もちろん、どちらが大切で、
どちらが不要という話ではありません。
文法だけで話せないってのもダメですし、
ある程度の文法知識がないと話せないことも事実です。
文法力、会話力、どちらも大切です。
ところがですね、
中国に留学したらどうなると思います?
このメルマガを読んでる方の多くは、
中国語のヒアリングが苦手なはずです。
書かれているものを読むことはできるが、
相手の言っていることはよく聞き取れない。
そういう方が大半のはずです。
よく考えてみてください。
そんなみなさんが中国に留学して、
ろくすっぽ聞き取れない中国語で、
ややこしい文法を説明されて、
分かると思います?笑
分かるわけないんですよ。
ただでさえ言ってることがよく聞き取れないのに、
結果補語とか複合方向補語とか専門用語が出てきて、
ややこしい説明されて、
理解できるわけないんですよ。
私も留学した当初、
まるーっきり、分かりませんでした。苦笑
何を言いたいのか。
語学習得では、文法も会話力も大切です。
でも、
「留学で文法を学ぶのは無理です。」
無理は言い過ぎかもしれません。
ですが、
「極めて時間効率が悪い」
これは間違いないです。
お客様とメールでやり取りをしていると、
少なからずの方が、
「中国に留学して文法を勉強する」
と思ってらっしゃいます。
ですが、これは完全に間違いです。
留学における最もムダな時間の使い方です。
ではどうすれば良いか?
答えは簡単です。
「文法は日本で勉強してください」
実際に留学すれば分かりますが、
ろくに聞き取れない中国語で結果補語を説明されるより、
日本語で書かれた文法書の結果補語のページを読むほうが、
数千倍分かりやすいです。
中国留学に文法習得を求めてはダメです。
効率が悪すぎます。
日本で独学したほうがはるかに成果は上がります。
また、通訳など専門職にならない限り、
業務上で中国語を使う程度であれば、
そこまで高度な文法知識は必要ありません。
現実問題としては、
日本で薄めの文法書をまるまる頭に叩き込んで、
あとは必要な都度覚えていく。
それで十分です。
日本で最低限の文法知識を丸暗記して、
それから中国留学に出発する。
それが正しい方法なんです。
じゃぁ、何のために中国に留学するのか?
それはひとえに、
「聴力と会話力」を身につけるためです。
聴力や会話力ばかりは、
座って授業を聞いていても絶対に身につきません。
どれだけ聞き、聞き返し、
どれだけ話し、話し返したか、
聴力、会話力はその量に比例します。
が、しかし、
日本にいては無理でしょ?
毎日中国語を聞き続け、
中国語で延々と話す。
そんなの池袋にでも住まなきゃ無理じゃないですか。笑
だからわざわざ中国に留学するんです。
文法を学ぶために中国に行くのではありません。
聴力、会話力を身につけるために、中国に行くんです。
これ、ものすごく大切な考え方です。
ここをしっかり理解しているかどうかで、
中国留学で得られる成果がまったく違ってきます。
そこでようやく今回の本題。
「1クラス人数」です。
中国に留学するのは文法のためではありません。
そもそも大前提として、
最低限の文法は日本にいる間に独学習得です。
中国には聴力、会話力養成のために来た。
文法を学ぶためではない。
となると、
授業の受け方はまったく違ってきます。
例えば文法の授業。
日本で一通り勉強しているわけですから、
テキストの文法項目は予習段階でクリアできます。
そして、留学の主目的は聴力、会話力です。
では、文法の授業中は何をするのか?
言うまでもありません。
延々と聞き、聞き返し、話し、話し返すのです。
その日の授業の文法内容は、
単なるヒアリングのテーマです。
教師が話す内容に必死に耳を傾ける。
聞き取れなかった部分は即座に聞き返す。
そして、延々と話す。
テキストの内容なんて単なるネタです。
会話するためのネタです。
分からない部分があったら、それは超ラッキー。
だって、質問できるでしょ。
質問=会話ですよ。
文法内容なんてどうでも良い。
日本で勉強してきてるし、
予習段階で一通り理解してるし。
授業中は聞くこと、話すことに専念です。
聴力、会話力アップに専念です。
文法だけじゃありません。
閲読だろうと作文だろうと、
すべては聴力、会話力のためにある。
この姿勢が、「使える中国語」を養います。
文法の授業は文法を学ぶんじゃない。
授業とは無関係に聴力、会話力を養う。
閲読の授業は閲読を学ぶんじゃない。
あくまでも聴力、会話力の養成が重点。
授業科目は一切関係ない。
すべては聴力、会話力のため。
ここまで割り切って下さい。
冗談でも、極端な例でもありません。
本当にここまで割り切って授業を活用するんです。
そういう姿勢に立ったとき、
1クラス20人の大学と、5人の大学、
あなたはどちらを選びますか?
言うまでもなく、5人の大学ですよね。
でもあなたは、恐らく正しくは理解していません。
5人の大学のほうが20人の大学より、
発言機会が4倍になる。
そう思ってるでしょ。
間違いです。
そんな考え方をするのは、
和を以て貴しと為す、のんきで平和な日本人だけです。
20人いたら、20人の発言機会は同じ。
40分授業だったら1人2分ずつ。
そんなふうに思ってませんか?
甘すぎます。
私は中国の数百の大学を訪問し、
数多くの授業を見てきました。
そこに「平等」なんて単語はありません。
授業中、一部の押しの強い学生が、
延々と話し、延々と質問します。
「お、先生、今日の服かわいいね。」
「え?今の説明分からない。」
「じゃぁ、こういう言い方はあり?」
「僕は作文こう書いたんだけどダメ?」
「先生、もうチャイムなったから終わろう~」
強い連中が延々と話し続けるんです。
そして他の弱い方々は、
ただひたすら彼らのやり取りを傍観する。
同じ学費を払っているのに、
一部が延々と話して成果を得、
残りはギャラリーに徹する。
1割の押しの強い学生が、授業の成果の9割を独占し、
押しの弱い9割の学生が、成果の1割をほそぼそと分けあう。
これが中国留学の実態なんです。
平等なんてありません。
完全な弱肉強食の世界です。
強い人が成果のすべてを独占します。
良い悪いの問題じゃありません。
これが現実です。
では、
あなたは押しの強い1割になれますか?
他の19人を押しのけて、
38の瞳を一切気にせず、
延々と話し、延々と質問できますか?
無理なんですよ。
ほとんどの人には無理なんです。
だって我々、日本人なんですから。
しかし、
1クラスが5人になると話はガラっと変わります。
20人の中ではちょっと無理でも、
5人だったらできないことはないでしょ。
5人でも無理って人は、お気の毒ですが、
もうどうしようもないです。
1割をほそぼそと分けあってください。
でも、ちょっと頑張れば、
ちょっと無理をして根性出せば、
5人クラスだったら押しの強い1割になれます。
授業の成果を独占できる可能性が出てきます。
20人クラスと5人クラスでは、
発言機会の差は4倍ではない、と書きました。
それは、
20人クラスではどうしても押しが強くなれないので、
1割を分け合う立場になる。
でも、
5人クラスだと押しが強い側になれるので、
今度は9割を独占する立場になれる。
つまり、20人クラスと5人クラスでは、
発言機会の差は4倍ではなくて9倍なんです。
1割をさらに分け合うことまで考えれば、
実は得られるものの格差は数十倍になるんです。
もしあなたが押しが強い人であるならば、
1クラス人数なんて気にする必要はありません。
ですがもし、
押しが強くない平均的な日本人であるならば、
20人クラスの大学を選んだ瞬間、
あなたの中国留学は失敗が確定します。
留学に出発する前から、失敗確定です。
中国留学というのは戦場です。
1割の強者と9割の弱者がせめぎあう戦場です。
そして、勝つのは1割の強者で、
負けるのは9割の弱者です。
不利な戦場をあえて求める戦争なんてありえません。
日本人が20人クラスを選ぶのは、
自らすすんで負け戦を戦うようなものです。
9割を独占する1割の強者になる。
そのために、
自分に有利な1クラス人数が少ない大学を選ぶ。
日本人留学生が確実に勝ち残るための、
留学の知恵です。
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【今週のまとめ】
1) 文法を学ぶために留学するのではない
2) すべての科目は聴力、会話力のためにある
3) 留学の成果は平等ではない
4) 少しでも1クラス人数が少ない大学を選ぶべき
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